昨日の録画が上がってて、作業しながら聞いてたら面白かったので昨日の記事に追従する形おまとめした。 (1/21 コメントいただいたので、コメントで補足頂いた部分に注記を足しました!ありがとうございます!)
発表のまとめ
Ad
トークメモ
トラッキング
- 広告主としては電話番号や住所のような個人情報は欲しくないが、もっと匿名性のある情報はほしい。
- GDPRの考え方により、個人情報の範囲が拡張されて、閲覧履歴すらも個人情報とみなされると日本でもその時流が来る可能性がある。
- デジタルマーケティングなので、ユーザに合わせたよりよいものを出すためのものだが、どんどん規制が厳しくなっている
セキュリティ
- ユーザが任意で広告トラッキングをさせないためのITP (Intelligent Tracking Prevention) を回避するような業者も出てきているが、あまりよろしいことではない。
- 広告側のエンジニアがちゃんとモラルをもってやっていかないと、ビジネス側はどうしても利益を推し進めてしまう。
- ITPを回避するEverCookieやSuperCookieという技術がよくないのが、ユーザが任意で消せない。
- ユーザの同意を得ながら明示的に止めたい場合は止めるというクリーンな運用が必要
事業者、クライアントの多様性
- 事業者が多すぎて、業界の基準に従っているところ従っていないところと別れている。
- 現在は手付きの悪い業者は広告クライアント側が拒絶する流れができているので悪い業者は弾かれている
- 悪い業者が出している広告、というのはユーザーとしてはわかっていない。そのため業界全体がクリーンにならないと駄目なのではないか
IDFAと業界全体のプロトコルの不揃い
- IDFAという仕組みがある。Appleのアプリに組み込まれる、広告用のID。アプリをまたいで固定され、ユーザが明示的に使わないってことができる。
- Webにも同じ考えがあれば嬉しいが、サイトAとサイトBで同じIDが特定できるとプライバシーポリシーの同意とかの考え方が難しくなるので、整理としては難しそう
- ads.txtや進んでいるが、業界として足並み揃えて進めるみたいのはあまり進んでいない。
- OpenRTB(Real Time Bitting)も2.0から3.0に移行しようとしているが、全体的に進んでいるってわけではない
- 事業者間で誰からやりはじめる?みたいな読み合いな状態になってしまっている。
広告不正(アドフラウド)
- 不正に広告を挿入、広告主を騙して不正に取得するのがアドフラウド
- クリックやPVに対してお金を支払うというのが根底にあり、そのカウントを水増しをしてくる。表示されている10%は不正広告という話もある。
- 話題になった漫画村ではiframeを不正に使って大量の広告を表示していた
- SimilarWebの上位100位以上は見たことないドメインが出てくるのはおそらくそういう不正な広告アクセス
- OpenRTB3.0では不正への仕様が入っているが、まだ業界が取り組めていない
- アプリなどはネイティブのプラグインとして提供しているから不正が起こりがちの現状がある
- ads.txtやads.certという考え方で不正を防ぐというのも考えている
- ただ業界としては正して行こうという流れ
BetterAds
- ブラウザ側が広告の形を規定して、それに沿わないものは表示しないという取り組み
- Chromeのシェアを考えると、従わざるをえない状況になるはず
- これが真剣に取り組まれていくと扱われる広告がクリーンになるので、そこからまた室の悪いものが出てきても特定しやすくなりそう
- 技術的にもそういうものが検知しやすいような仕様が入ってきている
デジタルマーケティング市場の今、そしてこの先
- デジタルマーケティングのエンジニアって少なくなっている
- デジタルマーケティングの市場は伸び続けている、また広告のデジタル化が進んでいるので当面市場としてダウントレンドになることは考えにくい。またデータマーケティングという観点もある
- テレビや新聞がオンラインにならないというシナリオは考えづらく、オンラインになればそれらの業種の人がデジタルシフトするので悲観的なシナリオは考えづらい
- 広告配信システムって、どこに何を出すかのシステム。今後配信するメデイアも増えてくるし、配信する面(タクシー、屋外広告、ARなど)も増えるはず。
- 人間のアテンションがある限り、広告の費用は投下される
オペレーション作業
- 本当のはじめは1つのサイトに出せばよかったという時代だったが、だんだんプレイヤーが増えていく中で出せる面としてのサイトやサービスが増えた。そこのコントロールの労力はどんどん増えていった。が、それをコントロールするのはマンパワーになっていた。
- 広告業界は業界の歴史的にマンパワーでどうにかする文化が強い。マンパワーで解決できないものはできない、という形にすらなっている。テクノロジーで解決するというレイヤーでの取り組みが行われていない。
- 運用を簡単にするという意味では3rd Party Ad Servingという考え方もあったが、GoogleやFacebookに馴染むような形ではなかったのでそこまで浸透しなかった。(ただしくは「浸透しなかった」ではなく「広く普及はしているが、一部のプラットフォームでは3PASが扱えないという形が正しいとのことです、コメント参照のこと)
- 広告は配信技術にはテクノロジーを投入してきているが、オペレーションのテクノロジーに投資すれば良くなるのではないか、そろそろ人間が管理するのは大変な領域になってきた。
AdBlock
- AdBlockも「広告邪魔じゃん、悪いことしてるじゃん」というエンドユーザの信頼を失っている部分から来ている話
- 広告ってユーザーとのコミュニケーション接点なのに、それを拒否されてしまう事態にまで至ってしまったという事実を重く受け止めるべき。
- ポジショントークにはなるが「商品の広告を出すことで認知してもらい、みんなが商品を買うことで利益が出て、また新たな商品を売ることができる」というようなエコシステムがあるのに、それができなくなってしまう。
- ユーザが広告から身を守れる以上、広告業者全体でどうやって信頼してもらうかを考える必要がありそう
広告とWebサイトの機能
- AMPで出したい要望もあるので、amp-ad という形で対応はしている。(詳しくはコメント参照)
- PWAも作り方を考えないと遅くなってしまうので向き合う必要がある
- メディア側がちゃんと広告を使いやすくようにしていかないと行けない
document.write
は結構事故があったりするので扱いにくいが、利用されているところもあるので使わざるを得ない問題がある- ブラウザ側にはユーザを守るための機能は実装されている
- 広告事業者的にもブラウザ側に欲しい機能という観点で意見が出た
事業者との付き合い方
- ちゃんと長期的な視点で取り組んでいる事業者を選んでいく
- 悪い事業者は弾かれていく
- 単一の事業者だけよくなってもしょうがないので、利用側からは業界全体が良くなることを要望してほしい。
感想
- 現在の広告に対しての最新動向としてどうにかしていきたいという気持ちがひしひしと伝わる話だった。
- Better Adsの話は知っておいてよかったなといしのと、これで質の悪いものは淘汰されていってほしい。
- オペレーションへのアプローチが全然されていないというのがびっくり。確かにそこは一種のブルーオーシャンなのかも?
関連リンク
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