『ひとりひとりが頑張りすぎない、成果を出すプロダクトチームの動き方』に参加してきたのでそのメモです。
各発表の感想
堅牢でスケーラブルな働き方を構築する技術
感想
- 書籍からの「堅牢」で「スケーラブル」な働き方の話。
- 自己管理できるメンバーがいるとチームも自然にそうなっていくという話。
- 外からの不確実性を減らす話は自身のチームでもやっているので効果があることはかなり実感できていた。
- 自己管理できるメンバーを増やしていくのも大事だが、チームのカルチャーを守るのも大事というのはすごく大切な考え方だなと思った。
関連リンク
パネルディスカッション
メモが取れた部分だけまとめています
疲れ切ってしまう前に、自分の状態を知る
最初のテーマは、「もう疲れちゃって 全然動けなくてェ」という状態に陥らず、機嫌よく働き続けるにはどうすればよいか、というものだった。
疲れを予防するためには、自分がどのようなときに疲れるのか、疲れてきたときにどのような兆候が表れるのかを知っておくことが重要だという。
たとえば、疲れて帰宅したにもかかわらずSNSをだらだらと見続けること、普段は楽しみにしているものを楽しめなくなること、「これをやらなければならない」「誰かに怒られるかもしれない」と他人の目を過度に気にすることなどに陥ると危険で、完全に疲れきってしまう兆候として挙げられていた。
そうなる前にどうなると疲れてしまうのかの分析をする必要がある話がされた。その中で自分の感情や状態を把握する方法としては、内省する時間を取ることが紹介された。一日の中で感情がどのように動いたかを振り返り、「なぜそう感じたのか」を考えるとよいとのことだった。
同じ出来事でも感じ方は人によって異なるという。出来事と感情が直接結びついているのではなく、その人の価値観や過去の経験を介して感情が生じているためだと説明されていた。感情が動いた理由をたどることで、自分が大切にしている価値観や、疲れにつながりやすい状況を知ることができるとのことだった。
自分で仕事のハンドルを握る
疲れにくく働くためのもう一つの観点として、「自分でハンドルを握る」ことが取り上げられた。
仕事では、上司から指示を受けたり、あらかじめ決められたタスクが渡されたりする。そのような環境で、どのように自分がハンドルを握ればよいのか、という疑問が示された。
議論では、上司の指示に従うだけでは、最終的に自分を守ることはできないという話があった。自分の給与がどこから生まれ、会社がどのような働きに対して対価を支払っているのかを理解する必要があるとのことだった。
上司の期待に応えることが対価を貰う方法と捉えるのであれば、その期待を把握したうえで、自分がどのように貢献するかを考える必要があるという。一方で、そこまで考えても自分の働き方と会社の求めるものが合わないのであれば、会社自体が自分に合っていない可能性もあると語られていた。
また、上司の言うことを聞かなければならないという恐怖から、自分で考えることをやめ、ハンドルを手放してしまうことがあるという。
特に、これまで「言われたことを行う」ことで成果を出してきた人にとって、自分でハンドルを握ることは簡単ではないとのことだった。その場合は、いきなり主体性を求めるのではなく、ハンドルの握り方そのものを身につけていく必要があるとされていた。
どのような環境でも無理に踏ん張るべきだという意味ではないという。強いストレスを感じる場所から離れたほうがよい場合もあれば、踏ん張る必要がある場合もあるとのことだった。重要なのは、自分に合わない場所で無理に頑張り続けるのではなく、自分がハンドルを握り、自分なりに頑張れる場所を見つけることだとまとめられていた。
頑張りすぎずに成果を出す
続いて、「頑張りすぎないチームが、どのように成果を出すのか」が話題となった。
ここで否定されていたのは、朝から夜遅くまで働き、私生活を犠牲にすることを「頑張る」と捉える働き方だった。
本人が望んで長時間働いているのであれば、それ自体を否定するものではないという。ただし、チーム内にそのような人がいると、周囲も同じ働き方を求められていると感じる可能性があるため、好きで長く働いている人は、それが自分の意思によるものだと明確にしたほうがよいとのことだった。
人によって働ける時間は異なり、長時間働ける人もいれば、8時間働くことが難しい人もいるという。労働時間を増やすのではなく、目の前の仕事をうまく進めるために、限られた時間をどのように使うかが重要だと語られていた。
働く時間を減らしたことで、チームが効率的な働き方を考えるようになったとのことだった。重要なのは、長時間働くことではなく、成果に焦点を当て、そのために必要な努力をすることだと語られていた。
モヤモヤを精神論ではなく技術で解決する
仕事上のモヤモヤに対して、解決するための技術を身につけることも議論された。
自分やチームでハンドルを握るために利用できる技術として、インセプションデッキやワーキングアグリーメントなどの手法が挙げられていた。
こうしたフレームワークに対しては、「作っても意味がない」「うまく機能しない」という評価が出ることがあるという。しかし、フレームワーク自体に意味がないのではなく、使いこなすために必要な練習や、道具を磨く時間を取っていない可能性もあるのではないか、という指摘があった。
手法を形式的に導入するのではなく、チームが抱えている問題を起点に利用することが重要だと語られていた。
「アジャイルだから」「スクラムだから」という理由だけで導入するのではなく、「チーム内にこのような衝突があるため、ワーキングアグリーメントを作る」といった順序で考えるとよいとのことだった。
チームが自分たちでハンドルを握るために
チームで手法やフレームワークを使うときには、それをなぜ行うのかを自分たちで理解する必要があるという。
「なぜこのチームはスクラムを採用しているのか」「なぜ朝会を行うのか」といった理由を言語化し、腹落ちさせることが重要だと語られていた。ADRのように、何かを始める際の理由を書き留めておく方法も紹介されていた。
朝会は、当初の目的が失われ、形骸化しやすいものの一例だという。目的を記録しておかなければ、いつの間にか「決まっているから行う」ものになってしまうとのことだった。
振り返りについても、単発で実施すると、その場で改善策を出すだけの活動になりやすいという。定期的な場を設け、継続的に扱うことで初めて意味を持つと語られていた。
フレームワークや手法を使う際には、その手法によって何を得たいのかを考え、常に「なぜ行うのか」を問いかける必要があるとのことだった。
振り返りの成功体験をチームに根づかせるには
振り返りの経験が少ないチームでは、「行う理由が分からない」「効果が感じられない」という理由から、振り返りそのものをやめてしまうことがあるという。まず考えるべきなのは、どのような状態になれば振り返りが成功したと判断できるのか、という点だと語られていた。
チームに課題が山積みになっている場合は、振り返りの中で課題を発見できる仕組みを作る必要があるという。振り返りに求めるものは、チームの状態によって変化するため、「何を解決できたらうれしいのか」を確認するとよいとのことだった。また、大きな問題を一度に解決しようとするのではなく、小さな問題から扱うことが重要だとされていた。
問題を直接分析して改善策を出すだけではなく、リフレクションとして振り返る方法も紹介されていた。個人が自分の経験や感情を内省するのがリフレクションだという。ただし、チームでリフレクションを行うためには、メンバー間にある程度の共通認識が必要になるとのことだった。
お互いが何を嫌がり、何を大切にしているのかを知ることは、成果に直結しないため無駄に見えるかもしれないが、個人を知ることはチーム内の関係を築くうえで必要だと語られていた。
ワーキングアグリーメントの作り方
ワーキングアグリーメントは、単なるルールブックになってしまいがちだが、チームの働き方やスタイルを合わせるためのものだと説明されていた。最初から理想的なルールを並べるのではなく、一定期間一緒に働き、お互いがどのように働く人なのかを知ったうえで作るとよいとのことだった。
たとえば、働き方が競合する部分について、「ここはルールとして決めておいたほうがよい」と話し合い、全員がスムーズに働くための約束にしていくという。決めた内容は不変ではなく、状況に応じて変更するものだと語られていた。また、一般的に良いとされることを書くよりも、メンバーが嫌だと感じることや、「自分はこれは守れない」と思うことを率直に出すことが重要だとのことだった。
こうした小さなストレスを減らすことが、スケーラブルで成果を出せるチームを作る出発点になるとされていた。
高い成果を求めることと、メンバーの不安をどう両立するか
チームに高い成果を求めたいと思っても、「このようなことを言うと、メンバーが不安になるのではないか」という懸念から、推進する側が発言を控えてしまうことがあるという。その場合は、個人に対して厳しい要求をしているのではなく、ゴールを達成するために必要な働き方を話していることを明確にするとよいとのことだった。場に求めるものや成果の基準を定義したうえで、意見が一致しなくても決定後は協力する「disagree and commit」という考え方も紹介されていた。
その際には、単に気持ちの面で納得できないのか、現実的に実行できないのかを切り分ける必要があると語られていた。
成果と期限を明確にする
成果について合意していても、それを1か月で出すのか、3か月で出すのかについて認識が異なれば、チームの動きはずれてしまうという。目標が曖昧だと、何に時間や努力を費やせばよいかが分からないとのことだった。
期限を守る重要性を示す例として、冷やし中華の話が挙げられていた。冷やし中華は6月下旬ぐらいに出すのがよく、遅くなって冬に出しても意味がなく、最速で4月に出せばよいものでもない。必要とされる時期に合わせて出す必要があるという。
目標を精密に設定するほど、チームは動きやすくなると語られていた。一方で、「業界ナンバーワンになる」「売上を20倍にする」といった目標だけでは、いつまでに何を行うのかが分からないという。
大きな目標に対しても、「実際に1年後はどうなっているのか」という冷静な視点を持ち、時間軸を定義する必要があるとのことだった。
Why nowを考える
期間と成果のバランスを取るための考え方として、「Why now」が紹介されていた。今その仕事を行うことによって得られる利益が最も大きいのであれば、今取り組むという考え方だという。将来の目標から逆算し、時間軸の中で現在何を行うべきかを考えるとのことだった。
時間軸が不明確なままでは成果を定義しにくく、目標がアウトカムではなく、単なるアウトプットの列挙になってしまうこともあると語られていた。何を行うかだけでなく、なぜ今行うのか、どの期間でどのような成果を出すのかを合わせて考える必要があるとのことだった。
目標と疲労の関係
疲れは、単に活動量の多さだけによって生じるものではないという。
インターハイを目指している人にとって、ハードな練習は必ずしも苦痛ではない。一方で、目指すものが明確でなければ、同じ練習でもネガティブなものとして感じられるとのことだった。明確な目標があれば、取り組みがハードであっても心は疲れにくいという。
反対に、「何のためにこれを行っているのか」が分からないことや、達成できる見込みのない目標に向かい続けることが、疲労につながると語られていた。頑張りすぎずに成果を出すためには、目標と行動の意味を明確にすることが必要になるとのことだった。
与えられた目標と自分の関心を結びつける
人によっては、自分で目標を決めるより、誰かに決めてもらったほうが安心できるという。
ハンドルを手放したい人に、どのように主体的に関わってもらうかという問題も取り上げられていた。誰かが作った目標であっても、自分の言葉で説明できるかどうかが重要だとのことだった。「偉い人が言ったから行う」という状態では、自分でハンドルを握っているとはいえないと語られていた。
同じチーム目標でも、人によって関心を持つ部分は異なるという。販売目標に関心を持つ人もいれば、技術的な目標に関心を持つ人もいるため、上から与えられた目標を、個々人が興味や意欲を持てるものと結びつける必要があるとのことだった。
自分が何に興味を持てるか分からない場合は、頼まれた仕事の中で、つい没頭してしまうものや、必要以上に作り込んでしまうものを振り返るとよいという。それが、自分に適性のある仕事や、関心を持てる領域を知る手がかりになると語られていた。
また、チーム内に楽しそうに仕事をする人がいると、周囲も元気をもらえるという話もあった。個々人が自分の関心を見つけ、楽しみながら働けることは、チーム全体の力にもつながっていくとのことだった。
全体を通しての感想
- 様々なタイミングで小田中さんの発信を見てきたので、進研ゼミで見た!的な気持ちになりながらパネルディスカッションを聴いていました。
- パネルディスカッションのなかでも「目標には期間が大事」という話があり、良い目標を掲げてもそれをどの時間軸で叶えるかがセットでないとダメだなとは感じました。
- 全体的に「何故やるのか」という話を中心に据えており、フレームワークの類は形骸化しやすいので、そこを日常的に考えることをチームに根付かせないといけないなと改めて思いました。
- ワーキングアグリーメントの考え方はハッとさせられて、お互いがすりあえるものを探すための枠組みなんだなと改めて思いました。うまくワーキングアグリーメントを決めているチームの話とかを改めて聞きたいなと思いまいした。