コード日進月歩

しんくうの技術的な小話、メモ、つれづれ、など

『DESIGNING CONNECTED CONTENT』を読み終わったよメモ

読んだ本

DESIGNING CONNECTED CONTENT | ボーンデジタル

読むきっかけ

弁護士ドットコムさんが読書会をやっているということで気になり購入しました。

情報設計をもっと身近に〜DCC勉強会を主催して得た学びとチームの変化〜 - 弁護士ドットコム株式会社 Creators’ blog

読後の所感

Create Once Publish Everywhere (COPE)

この本を通して伝えられているのは、「Create Once Publish Everywhere(COPE)」というアプローチに基づいたWebプロダクトのデザイン方法です。COPEの考え方は、一度作成したコンテンツを、ウェブページや音声デバイスなど、出力の形式に縛られずに再利用できるようにするアイデアです。この本では、どのようにして情報の構造を構築し、見た目や利用方法に関係なく利用できるデータを作成するかについて、「IAサミット」というウェブサイトをベースに紹介しています。

ドメインに向き合う具体のアプローチ

監訳者の前書きにも触れられているように、この本はエリック・エヴァンスのドメイン駆動設計(DDD)の影響を受けており、DDDに詳しい人には「ドメイン理解を深める」というおなじみの話題が書籍の早い段階で登場します。また、ドメインの理解の方法も具体的に書かれており、『主題領域の調査』のパートではどのようにドメインの専門家にインタビューするといいかなどの内容があり、エリック・エヴァンスの本ではあまり語られていない専門家との対話に関しての部分に関して理解しやすい形で紹介されています。

非エンジニアでもデータ設計がわかりやすく紹介

ドメインの理解が進んだ後、具体的なデータ構造の設計方法が具体例を交えて説明されています。この本はエンジニア以外の読者を対象としているため、データ間の関係性や設計プロセスがわかりやすく説明されています。非エンジニアの方々にとって、エンジニアが通常行うデータ設計の理解を深める手助けになると思われます。また、エンジニアにとってもデータ設計の流れを再確認する機会となるかもしれません。

構造化データを維持することの難しさ

本書の最後の章である「未来は待ってくれない」では、構造化データとコンテンツの維持が直面する障壁や難しさについて議論され、未来への展望が語られています。情報が効果的に構造化されると再利用が容易になることは明らかではあるが、ビジネス要件やチームメンバーの変動によって、その維持が難しくなるケースが事例を通じて示されています。この章に至るまでに色々と試行錯誤して「IAサミット」のウェブサイトを良くしようと語られていた後に、この章で現実をぶつけられるので色々と思うところが多かったです。

DDDを知らない人の入り口としてもオススメ

ウェブ上でコンテンツを読んでもらったり見てもらったりするサイトを作る人には「自分が扱うサイトのコンテンツの構造はこれが最適なのか、本質的なものなのか」ということを考えるきっかけになる一冊であるかなと思っています。また、元の考え方がDDDから連なるものなので、DDDを知らない人がドメイン駆動で何かウェブサービスを作るときに読んでもらえるとよいのでは思える本でもありました。

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