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権威勾配(Authority Gradient) についてざっくりまとめる

使われ方が諸説あるっぽいので自分なりにまとめる

言葉の意味

ここで表される「権威」とは、肩書や社会的地位など他者がもつ社会的かつ主観的な影響力のようなものを指します。そして特定の二者間で起きる「権威」の差の緩急を角度でたとえて「権威勾配」と表現しています。 言葉の使い方としては、二者間において権威勾配が急(角度がある)と権威上位者が意見をしたときに下位者は権威から反論を言いにくくなり、緩やかになる(角度がなくなる)と権威上位者が下位者に対して権威を持って意見を通しにくくなる、というような説明で使われます。

例えば、「リーダーから見たときにメンバーへの権威勾配が急」という状況においてはリーダーの権威がかなり上におり、リーダーが正しい意見をメンバーに言い続ける場合には問題ないのですが、リーダーが間違ったことを言ったときに権威勾配から"間違いである"とメンバーが述べられない状況が生まれてしまいます。

また、「リーダーから見たときにメンバーへの権威勾配が緩やか」な場合は、リーダーが権威を持って命令をしなければ行けない場面で、メンバーがリーダーの言うことを聞かずに各々で動いてしまい統率が取れなくなる、というような状況が生まれます。

言葉の起こり

ざっくり時系列でWeb上を検索すると、1992年ごろの論文で航空機事故の原因を調査する過程で「コックピット内での権威勾配(trans-cockpit authority gradient)」というフレーズが登場し、そこから権威勾配が使われるようになったように見受けられる。

この論文では「パイロットと副操縦士の階級関係が離れているほど事故が起きる率が高い」という趣旨の内容になっています。そのため、この論文から「権威勾配が急すぎると適切に採用すべき意見が封じ込められてしまう」というような話につながっていきます。

使われ方

言葉の起こりにあるように、権威勾配があると勾配の下にある人物の意見が出ないまたは届かないということになるので、フラットな組織形成などの文脈で使われる事が多い。

参考リンク