原文がどういうものかも含めてざっくりまとめる
サボタージュマニュアルとは
CIAが第二次世界大戦中の1944年頃に作成された文書で、妨害工作員が日々の行動の中で実現可能な妨害工作に関してまとめられたもの。組織内の人間関係を悪くすることで妨害を行う方法に関しても記載されているため、組織づくりにおいてのバッドノウハウ集として取り上げられることがある。
文章の8割程度が戦時中を背景とした破壊工作などに関してのマニュアルなので、現代のプロジェクト活動に関して関連しそうな部分を中心にこの記事ではざっくりまとめます。
原文
原文はHTML化されたものが公開されている、以下のURL
構成内容
大きくは5つのパートに別れている
- はじめに
- 考えられる効果
- 工作員の動機付け
- ツール、ターゲット、タイミング
- 単純な妨害行為に対する具体的な提案
この中でも、5では日々の物理的な破壊工作のテクニックなどと合わせて最後に「組織と生産への一般的な干渉」という形で紹介されている。
紹介されている妨害の内容
戦時中ということで戦争が背景にある内容もいくつかあるが、大まかにまとめると以下のようになる。
- 簡単な仕事でも繰り返し内容に関して質問をして、時間をかけて指示を理解するまでに時間がかかるフリをする
- 重要な仕事ほどあとでやり、全体的に遅くなるように仕向ける
- 命令を求め、命令を誤解して、その説明に時間を多くかけさせる
- 組織のモラルを低下させる。仕事ができない理由を道具や設備のせいにする。
- 組織の意思決定をあらゆる手で遅らせる
この中でも組織に関しての妨害干渉がいくつかあり、以下のような内容がある。
- 可能な限り、すべての事柄を委員会に付託し、「さらなる研究と考察」を求める。委員会の人数はできるだけ多くし、決して5人以下にはしない。
- できるだけ頻繁に無関係な問題を持ち出す。
- もっと重要な仕事があるのに、会議を開く。
- もっともらしい方法でペーパーワークを増やす。重複したファイルを作成する。
- 指示書や給与明細書などの発行に関わる手続きやクリアランスを多重化する。1人でできることはすべて3人で承認しなければならないことを確認する。
- 「合理的」であること、そして「合理的」であることを同僚に促し、後で困惑や困難を招くような急ぎすぎを避けること。
- どのような決定も妥当かどうか心配し、そのような行動がグループの管轄内にあるのか、あるいはもっと上位の層の方針と矛盾する可能性があるのか、疑問を投げかける。
- 可能であれば、従業員の問題を経営陣に提示するグループに参加するか、その編成に協力すること。その際、多くの従業員が出席すること、苦情ごとに複数回の会議を開くこと、架空の問題を持ち出すことなど、経営陣にとってできるだけ不都合な手続きを採用するよう注意する。
この「妨害工作」から反面教師で学べること
具体的な妨害工作が書かれているが、これは自然発生的にも起こりうる現象なので、これらを未然に防ぐことが肝要かと思われる。
なかでも組織運用に関してはひたすらに承認者を増やしたり、「心配である」という背景のもとやることを増やす、というようなことは善意から発生しうる行為なので、サボタージュを自分自身で引き起こしていないかという自戒としては活きる。
また従業員の妨害工作に関しても、意図的に遅らせるという話以外にも繰り返し何度も説明を求めて遅らせるという行為があるので、これを逆に考えると簡潔で伝わりやすい情報伝達やコミュニケーションを心がけないと、妨害工作に匹敵する行動に発展してしまうということに気をつけなければいけない。