コード日進月歩

しんくうの技術的な小話、メモ、つれづれ、など

アサーティブコミュニケーションの原典をざっくり整理する

よくわからなかったので色々整理しながらまとめる

アサーションコミュニケーションの原典

アサーティブコミュニケーションの話の祖となっているのはAndrew SalterのConditioned Reflex Therapyとされている。この書籍の中ではアサーティブコミュニケーションというフレーズは登場しないが、概念自体は昨今語られているものに通じる内容となっている。

Salterの考え方

Salter は、人の行動には大きく分けて 「抑制的反応(inhibition)」と「興奮的反応(excitation)」 があると考えました。

反応タイプ 特徴 具体例
抑制的反応 感情や欲求を抑える・回避する 「言いたいけど黙る」「断れない」「自分の意見が言えない」
興奮的反応 感情や欲求を正直に表現する 「私はこう思う」「嫌です」「それは嬉しいです」などを適切に口にする

この興奮的反応を繰り返し訓練して学習することにより、「パブロフの犬」の考え方と同じように意識せずとも条件反射的に行えるようにするというアプローチです。

Salter が提示した代表的な訓練技法

原著からかなり時間が経過しているのですが、当時語られていた技法には以下のようなものがあります

1.アイ・トーク(I-talk)

自分の感情や欲求を「I(私は)」を主語にして表現する。「私は今、疲れているので少し休みたいです」など、「私」をちゃんと入れて喋る。

2.感情の言語化(Feeling-talk)

感じていることをそのまま言葉にする。「それを聞いて、私は驚きました」や「あなたの提案、うれしく感じました」など、感情を“思考”ではなく“体験”として伝えることを促す。

3.表情・身体での表現(Facial-talk・Body-talk)

表情や姿勢など非言語コミュニケーションを行う。感情と身体表現の一致するのが大事なので、ちゃんと意識して行えるようにする。

4.賞賛の受け入れ訓練(Accepting Compliments)

抑制的反応を多くする人は、褒められると否定したり曖昧にするため、それを改善する。「いやいや、大したことないです」ではなく「ありがとう、そう言ってもらえて嬉しいです」というようにし、自尊感情・自己効力感の基礎を作る。

5.即興的対話(Spontaneous Behavior Training)

計画せずに思ったことをその場で言う。即興で話す訓練を多くし、完璧に考えてから話す癖(抑制)を減らし、自然で柔軟な自己表現を促す。

6.宿題(Homework)

これまでに紹介したことを日常的に生活でやることを意識付けることが大事としている。

Salterの訓練で重視された観点

Salterは精神的な不調が「抑制的反応」が強く出てしまうことが要因と考えていたので、そこを訓練する事によって興奮的反応に変えようとするアプローチになっています。

そのため訓練では繰り返しやることで習慣づけ、日常期に取り組み、アイトークとしてやることで責任と主体性をもたせることが念頭に置かれています。

このSalterの考え方をもとに行動療法として整理されていき、のちのアサーティブコミュニケーションにつながっていったとされています。

参考リンク